よむこと、かんじること、

左手にはいつも子どもを抱っこ、暇した脳ミソが本を読み考える。

大事なものから消えていく、残ったものにしがみつく

「 音」がひとつずつ消えていく。この虚構の中では名前の音が消えればその存在も消えてしまう。

 

大事なものほど名前がある。どうでもいいものは名無し。大切な人には名前があるけど、道ですれ違う見知らぬ人には名前がない。好きな本は題名や作者があるけど、興味のない本はただの本。

となると、音がひとつずつ消えていくことは、大事なものから消えてしまうことになる。

 

でも存在が消えてしまうと、それを無いものとして過ごせてしまう。結局残ったものを使ってどう過ごすか、どう生きるかになる。

 

大事なものは存在するからこそ大事なのであって、無くなってからは大事ではない。

大事なものは、在るときに大事にしなくてはならない。

 

 

 

残像に口紅を (中公文庫)

残像に口紅を (中公文庫)

 

 2018.2.24読了