大事なものから消えていく、残ったものにしがみつく
「 音」がひとつずつ消えていく。この虚構の中では名前の音が消えればその存在も消えてしまう。
大事なものほど名前がある。どうでもいいものは名無し。大切な人には名前があるけど、道ですれ違う見知らぬ人には名前がない。好きな本は題名や作者があるけど、興味のない本はただの本。
となると、音がひとつずつ消えていくことは、大事なものから消えてしまうことになる。
でも存在が消えてしまうと、それを無いものとして過ごせてしまう。結局残ったものを使ってどう過ごすか、どう生きるかになる。
大事なものは存在するからこそ大事なのであって、無くなってからは大事ではない。
大事なものは、在るときに大事にしなくてはならない。
2018.2.24読了